蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

自分の口から出た言葉が信じられず、唖然とする。まったく動けない私に、蓮人兄さまは何も言わない。

バクバクと心臓が音を立て、背中には冷たい汗が零れ落ちるるのが自分でもわかるがどうにもできない。
数秒がとてつも長く感じて私は、ゴクリと唾液を飲み込んだ。

「これを」
そういうと蓮人兄さまはポケットから何かを出すと、私の手に何かを乗せた。
「え?」
意味が解らず私は蓮人兄さまを見上げるも、その表情は一切変わっていなかった。

「俺の家はわかるな? 19時には帰る」
更に低くなった蓮人兄さまの声に身がすくむ思いだったが、その意外な言葉の意味が解らず問いかけようとした。しかしもう蓮人兄さまは颯爽と行ってしまい、ただエントランスから外に出ていく姿を見送るしかできなかった。
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