蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】
「何してる?」
怒ったようなその声は、あきらかに蓮人兄さまの声で私はびっくりしてチーズを落としてしまう。
「あっ」
そのことに声を上げた私だったが、蓮人兄さまの「鏡花!」と呼ぶ声に我に返った。
「あの、ごめんなさい。冷蔵庫が空っぽだったから買い物に……」
そこまで言ったところで、蓮人兄さまが言葉をかぶせる。
「下のスーパーにいなかっただろ?!」
「え? 探してくれたの?」
つい、昔のように聞き返してしまい、私はハッとして口をつぐむ。
小さいころも、遊んでくれるのは悠人さんや真翔君だったが、迷子になったりしたときに探して助けてくれるのはいつも蓮人兄さまだった。
「……預かってるから仕方なくだ」
小さく言い放たれたその言葉にも、私は嬉しさがこみ上げる。
「ごめんなさい。S駅のショッピングモールに……」
その私の言葉に、蓮人兄さまのため息が電話越しに聞こえた。
「この番号を登録しとけ。そしてそこから動くな」
「蓮人兄さま……」
呼びかけた時には、もう受話器からは電子音が聞こえた。