居候同期とフクザツな恋事情


私が何度もパチパチと瞬きしていると、イオが恥ずかしそうに気まずげに笑う。


「……っていう、お誘いをするための決意表明で朝ご飯作ったんだけど。残念ながら、失敗」

「ごめんね」と言いながら、イオが私の前に置かれたお皿をさげようとする。


「待って。それ、食べる」

「ほんと?」

慌ててお皿をつかんで引き止めると、イオが嬉しそうに頬を緩めた。

改めてフォークを持ち直して目玉焼きを食べてみたら……


「何これ、塩かけ過ぎでしょ?」

ものすっごく、しょっぱかった。


「ほんとだ。からっ……」

私に言われて味見したイオが、顔をしかめて口元を手で覆う。


「み、水っ!!」

イオが走って行って、冷蔵庫にあったミネラルウォーターをふたり分グラスに注いでくれる。

しょっぱくなった口の中に一気に水を流し込んで、テーブルにグラスを置いたら、腕で口を拭うイオと目が合う。

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