赤い毒は愛の証
立派な門が開き、おしゃれなシックな服を着た誉が笑顔で現れる。そして、雪を優しく抱き締めた。

「お母さんからまた何か言われた?」

「お前なんて産むんじゃなかったって今朝、言われた」

「そっか……。辛かったね」

もう何度も母親から言われたはずの言葉なのに、雪の瞳から涙がこぼれる。誉に優しく愛されていると幸せで泣きたくなるのだ。

「泣いていても雪は綺麗だね。どんな表情でも雪は綺麗だよ」

誉は雪の涙を拭い、優しく唇を重ねる。雪の表情は一瞬にしてとろけたものに変わり、何度もキスを求めた。

「んっ……んんっ……。誉くん、愛してます」

何度もキスを繰り返した後、雪は微笑みながら言う。何度言っても、この言葉を口にするたびに幸せが胸に広がるのだ。

「俺も愛してるよ」

そして雪は誉に腰を抱かれながら、ゆっくりと誉の家の中へ向かう。大きなお屋敷ということもあり、玄関までの道も遠い。

「素敵なお庭ね」

雪が庭に植えられた植物を見つめると、「そう言ってくれると嬉しいな」と誉は微笑む。
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop