その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「れーこさんは?」
「ん?」
「れーこさんもなにか言おうとしてたのに、遮っちゃったような気がするから」
あぁ。プロジェクトリーダーとして本社から来る同期のことが苦手っていう、それだけの話ね。
元々たいしたことではなかったし、改めて伝えるような内容でもない。
「私は別に何も」
「ほんとに?」
「本当に」
疑わしげな目で見てくる広沢くんに笑いかけると、「それならいいけど」と彼がぼそりと零す。
「何かあったら、ちゃんと言ってくださいね?」
何度も強く念を押されて苦笑いを浮かべていると、彼が不意に私の頭を抱いてぐっと胸に引き寄せた。
「笑うとこじゃないですよ」
「わかってる」
私が広沢くんの腕の中で頷いたのと、彼のキスが額に落ちてきたのと。それはほとんど同時だった。