その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「そうです。部署のメンバー何人かで来てて。碓氷さんと大森さんは、おふたりだけですか?」
広沢くんが、大森くんに対して他所行きの笑顔で答える。
そうしてその笑顔を貼り付けたまま、全く笑っていない目で私のことをチラリと見てきた。
私に対して状況説明を求めるような、広沢くんの無言の視線が痛い。
「あ、えっと……」
「そう、ひさしぶりにふたりで飲んでたんだよ。な、碓氷」
みんなが見ている前で不自然にならないような状況説明をしようと考えていたら、大森くんがまたもや私の言葉を遮った。
それから、左肩をぽんっと叩いてにこにこと笑いながら同意を求めてくる。
仕方なく躊躇いながら頷くと、広沢くんが他所行きの顔を取り繕ったまま私から顔を背けた。
「へぇ。碓氷さんて、大森さんと仲良かったんですね」
「んー、まぁ、それなりに?な?」
仲良くもなければ、顔を合わせたのも、言葉を交わしたのも数年ぶりだというのに、大森くんが私の肩に手を乗せたままにこにこ笑う。
これ以上は余計な誤解を受けそうだから、やめてもらいたい。