その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「余計なお世話です」
飲み干したワイングラスを勢いのままにテーブルに置いたとき、私たちのそばを男女複数のグループが通りかかった。
「あれ?れー……、碓氷さん?と、大森さん?」
聞き覚えのある声にハッと顔を上げると、グループの列の後ろのほうにいた広沢くんと目が合った。
「あ……」
「おー、広沢くん。お疲れさま」
口を開こうとしたら、大森くんが私を遮ってしゃしゃり出る。
大森くんの大きな声に、グループの何人かが私たちを振り返った。
そこには、秋元くん、秦野さん、桐谷くん、新城さんなどいくつも見知った顔がある。
そういえば、広沢くんが言っていた若手社員たちの飲み会って今日だったんだ。
退社後、ほとんど強引に大森くんに連れ出された私は、広沢くんになんの連絡もいれていなかった。
まさか、同じ店にいたとは。
「おー、よく見たら、広沢くん以外にも知った顔がちらほらいるな。今日はみんなで飲んでたの?」
広沢くん以外の企画部の面々に気付いた大森くんが、にこにこと他のみんなにも手を振る。