その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―


そわそわと落ち着かない気持ちで、窓を流れる景色を眺めたり、スマホを触っているうちに、新幹線は目的地へと辿り着いた。

待ち合わせ場所に指定された中央改札に向かうと、ゲートの向こうの人混みの中に、広沢くんの姿はすぐに見つかった。

同じタイミングで私に気付いた広沢くんが、ぱっと破顔して嬉しそうに手を振ってくる。

小さなスーツケースをガラガラと引いて改札を抜け、広沢くんの前に立つと、まだ挨拶する暇も与えられないままに正面からぎゅーっと抱きしめられた。


「ちょっ、ここ、外」

「そうだけど。これから毎日れーこさんが一緒にいると思ったら、数日前から気持ちがもうヤバくって」

「なによ、それ」

「あ、れーこさん、反応薄い。こっちは、れーこさんに内緒で有休取っちゃうくらい、すげー楽しみにしてたのに」

私の肩にのせていた頭をあげた広沢くんが、不満げな顔をする。

相変わらずな広沢くんの反応が可愛くて、ちょっと笑えた。


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