その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
今日は、私が広沢くんの住むマンションに移動する日だ。
広沢くんは数週間前から「有休を取って迎えに行く」と言い張っていたけれど……
たかが私が移動してくるくらいで仕事を休んでもらうのも悪いから、だいぶ前に迎えは断っていた。
何度も週末に来ていて家の場所はわかるし、道に迷うようなこともない。
昨日の夜電話で話したときだって、「有休を取った」なんて一言も言っていなかった。
きっと広沢くんのことだから、事前に話すと私が難色を示すと思って、直前まで黙っていたんだろう。
『駅に迎えに行くから。中央口の改札出たところにいて』
ハートのスタンプとともにメッセージを送ってきた広沢くんは、私の反論なんて完全無視だ。
スマホを見つめながら、複雑な気持ちでため息を吐く。
私の迎えなんかで休ませてしまって申し訳ないと思う反面、予定より早く広沢くんに会えるのは正直嬉しい。顔を見られるのは、夜遅くだと思っていたから……