その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―


綺麗で優しい、なんて。

部下から直接そんな評価をされたのは初めてだ。

これまで、陰で悪く言われたり、性格がキツいとか口調が厳しいとか。そういう評価をされることが多かったから、桐谷くんの言葉に驚きを隠せない。

しばらく目を瞬かせていると、広沢くんがふっと鼻で笑った。


「ほら、やっぱり。碓氷さんの今年の新人への対応は甘いんですよ。俺らが新入社員のときはもっと厳しくて、何やってもにこりともしてくれなかったのに」

「そんなことないでしょう?」

「いや。碓水さん、俺らのときも厳しかったですよ。だけど、最近ちょっと雰囲気が優しいですよね」

私と広沢くんのやりとりに、秋元くんまでもが口を挟んでくる。


「そう?」

この前秦野さんにも似たようなことを言われたし。広沢くんだけでなく、秋元くんや桐谷くんまでもが言うのならそうなのだろうか。

相変わらず、私自身に自覚がないのだけど。

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