真夜中まで、君とワルツを
「……はい」

シンディがそう答えた刹那、いつから現れたのか、ヴァイオリンなどの楽器を手にした人々が美しいワルツを演奏し始めた。そして、気が付けばチャーリーとシンディの周りにもドレスやタキシードを着た人々が現れ、ワルツを踊り始める。

「僕たちも踊ろう」

「楽しみだわ」

チャーリーはシンディの腰に腕を回し、ゆっくりと踊り始める。生きている頃はワルツを踊るのが好きで、よく二人で練習をした。

魔法の一夜が、ゆっくりと幕を開ける。



何曲もワルツを踊った後、チャーリーとシンディは壁際に移動して会話を楽しむ。その間も多くの人がワルツを踊っていて、本物の舞踏会のようだった。

「元気にしてた?」

シンディがワインを口にし、チャーリーに訊ねる。チャーリーは「仕事を頑張ってるよ。何とか元気かな」と笑った。

魔法で全て作られたものとはいえ、料理もお酒もおいしい。普段はあまり食事をしないチャーリーも、シンディが隣にいる今日だけは食べることができた。
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