可愛らしさの欠片もない

「…そんな…大袈裟な…」

昨日、言い合った人とは思えない、しおらしくて恐いくらい。

「優李に俺の空っぽの心は救われたんだ、…有り難う」

あ。……まだまだ、知らないといけないことがありそうだ。まだよく解らないけど、この人は寂しいのかもしれない。
昨夜は何も話せてないから…何も解らない。
背中を撫でトントンした。

「…甲斐さん、時間…、大丈夫ですか?一度帰るでしょ?」

「ああ、そうだな、うん。……優李…」

少し離れてまた唇が触れた。ん?…んぅ…甲斐さん…。触れる角度を優しく変えながら甘くてなかなか離れない…。

「…ん。…優李、俺を甘く見るなよ?」

「…え」

頭…ポヤッとしている。

「フ。俺の方が優李よりずっと好きになるからな」

「え?」

それは……嬉しい。じわじわと嬉しいって湧いてくるけど…。

「今はまだ立場上…偉そうに言えないけど、優李のこと、寂しくさせない、大事にするから、…誓う」

「え、あ、え?どうしたんですか…あ」

触れた唇はあっさりと割られ深く甘いものになった。…これ以上はもう…、体がおかしくなりそう…キュンとする。
なんだか、一体…。朝から…。そうだ。昨夜、話しておくべきことだったからだ。もしかして、これも“確約”ってこと。だったら、私、言質、取りましたよ?確かに聞きましたから。

「…続きはまた今夜話そう、じゃあ、行ってくる。優李も遅れないようにな…」

「はい、ぁ」

短く何度もキスされた。

はぁぁ……こんな…どっぷりと快楽に溺れていてもいいものだろうか。何もなければ罪悪感のようなもの、感じることさえなかっただろうに。頭のどこかには居る奥さんの存在…。駄目駄目。甘いときは甘くていいの。これで潰れては。…二人で居るときは何も考えないでいよう。そうするしかない。………はぁ、でも……それにしても怠い…怠くて堪らない。…眠い。
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