嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
「朝霧さんの大切な人に手出しなんて絶対しません! 命をかけて誓います!」

 周りに聞かれないよう必死に声を抑えてはいるが、今にも叫び出しそうな熱意が伝わってきた。

 そんな必死にならなくても。

 立場が上の俺に委縮しているのは間違いなさそうだ。

 それなら念のため立場を利用して釘を刺しておくか。

「俺は誰よりも花帆を大切に思っている。だから変な虫がついたら容赦なく排除するし、誰にも渡すつもりはない」

 家族にも花帆本人にも知られていない独占欲を吐露すると、阿久津くんは硬直して表情をなくした。

「ここは男が多い。花帆は可愛いし、俺の代わりに目を光らせてもらえるとありがたい」

 さすがにやりすぎとは思ったが、思いのほか阿久津くんの反応は好意的だった。

「はい! 任せてください!」

 今しがた石のように固まっていたのに、敬礼のポーズを取って目をキラキラさせているのを見て、キャラがいまいち把握できないと内心苦笑した。
 
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