嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する

 久し振りの実家は他人の家のように感じた。

 うちってこんなに真っ白だったっけ。ログハウスふうの仁くんの家と違い、白を基調とした内装がチカチカするなぁと目を細める。リビングに入ってソファにだらしなく寝そべった。

「あ~疲れた~」

 目を瞑って身体を休めること数分。

「あっつい!」

 飛び起きて大きな掃き出し窓を開けた。心地いいとは言い難い、むわっとした風が流れ込む。

「まだ五月だっていうのに暑すぎるでしょ」

 ひとり言を呟くと、仁くんとの会話が脳裏をよぎる。

 暑くなる前に式を挙げたいって言っていたなぁ。

 用意してくれていたパンフレットのなかによさそうな式場があったから、今日仁くんに相談するつもりでいた。

「はあぁぁ~」

 溜め息ばかり漏れる。

 そういえば、と、ずっと確認していなかったスマートフォンの画面を開いた。

 そこには、仁くんと杏ちゃん、弥生さんからの着信履歴がズラッと並んでいる。

「えっ。やばっ」

 萌と阿久津さんと私のグループチャットには、どこにいるのか、連絡をよこしなさいという文面が飛び交っている。

 待って待って。どういう状況?

 阿久津さんと萌のメッセージは、私と仁くんのごたごたに関係あるの?

 かなり戸惑ったけれど、このままにしておくわけにはいかない。ひとまずなんでもさらけ出せる杏ちゃんに電話をかける。
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