【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「この棟に鍵がありそうだな」
「……ねぇ、ここは?」
私が指をさしたその部屋は、恐らく特別なんだろう。
入口の扉は大きくて、ドアノブだって金色でピカピカだ。
それに『寮長室』と書かれている。
「誰かいるんじゃない?」
「ほんとだ……」
虹くんの言う通り、床下の隙間から僅かに明かりがもれている。
同時に、翠が言っていたことを思い出した。
寮長は厳しくて冷血なんだってこと。
だからなのか、この階には深恵くんみたいにうろうろしている寮生は誰もいない。
「この部屋は探せない……ってことだよね?」
「離れた方が身のためだろ。危険すぎる」
「うん! 奥の方に行ってみよ……っ?」