きっと、月が綺麗な夜に。
ランジェリーショップなんぞにタイミング悪く入っていたら、一生合流出来ることなんてないし、大人しく待ってれば良いのに。
雨の香るアーケード街を、進めば進むほど早足になって、心拍数もそれに伴って上がってゆく。
『お母さん!お母さん!』
雨風の強い夜の島を、まだ幼い僕は、土砂降りの中雨だか涙だか分からないくらい濡れた顔で叫びながら走り、探し回る。
ずっと昔のそんな記憶がぐるぐると頭を巡り、せっかくカフェで下がった体温がまた上がり、額をぐっしょりと嫌に湿らす。
今は違う。状況も何もかも違うのに、僕が母親に捨てられた日、そして、りょーちゃんと家族になった日が、美矢を探す理性よりずっと強くフラッシュバックして、目眩と吐き気に襲われた。
気分が悪くなり、腰を曲げ、揺らめくしかいと顎に伝う嫌な汗に、思考が蝕まれる。
「……ら、とら?とら」
そんな僕の頭上から、聞き慣れ始めたあの声が、円みのあるその抑揚の無い声がふんわりと包み込む。
ゆっくり顔を上げると、元々平行に生えた綺麗な形の眉毛を心配そうに上に上げた美矢が、そこにいた。
ちゃんと、いた。
雨の香るアーケード街を、進めば進むほど早足になって、心拍数もそれに伴って上がってゆく。
『お母さん!お母さん!』
雨風の強い夜の島を、まだ幼い僕は、土砂降りの中雨だか涙だか分からないくらい濡れた顔で叫びながら走り、探し回る。
ずっと昔のそんな記憶がぐるぐると頭を巡り、せっかくカフェで下がった体温がまた上がり、額をぐっしょりと嫌に湿らす。
今は違う。状況も何もかも違うのに、僕が母親に捨てられた日、そして、りょーちゃんと家族になった日が、美矢を探す理性よりずっと強くフラッシュバックして、目眩と吐き気に襲われた。
気分が悪くなり、腰を曲げ、揺らめくしかいと顎に伝う嫌な汗に、思考が蝕まれる。
「……ら、とら?とら」
そんな僕の頭上から、聞き慣れ始めたあの声が、円みのあるその抑揚の無い声がふんわりと包み込む。
ゆっくり顔を上げると、元々平行に生えた綺麗な形の眉毛を心配そうに上に上げた美矢が、そこにいた。
ちゃんと、いた。