きっと、月が綺麗な夜に。
「要はお金を捻出すれば良いんだよね?」


一連の話を片耳に無線イヤフォンを付けて、何やら動画を見ながら小さなメモ帳にコードを書き殴って耳コピをしていたらしい美矢が、唐突に顔を上げ言い放った。


「ベンキョは、出来る方?」

「えっと、うん。成績は悪くない。テストも苦手科目でも80点は取れるように、してきたから」


普通の学校と違ってマンツーマンで授業を受けれる環境のケンゴの成績は、小学校教諭とプラスで国語の中学教諭として働いている僕からしても、良い方だと思う。

そもそものパーソナリティとして、勉強が嫌いじゃないケンゴの姿勢は大いに影響しているのだと思うけれど。


「じゃあ、返済しなくていいタイプの奨学金制度受けれるんじゃん?あたしそれで高校行ってたし」

「そうだね、十分推薦出来る範囲だと思う。それを受けたとして、まず、ケンゴは高校進学で絶対条件で寮に入らなくちゃ行けない。その費用も考えなくちゃだね」

「それは大丈夫。学校の近くに独身の父親の弟さんが住んでて、夏休み中にもし通うなら住まわせてもらえる許可取ってあるから」


それであれば奨学金は学費に回せるけれど、私立に3年間通うのはそれでも心もとない。
勉強したいことがあるのにバイト三昧、なんて意味が無いし、どうしたものか。
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