一匹狼くん、 拾いました。弐

「んー、美味しい!!」

 抹茶黒みつのクレープを食べながら、楓は笑う。

 楓の頬に、抹茶のアイスがついていた。

「楓、頬に抹茶ついてんぞ」

「え、嘘!」

 ポケットからティッシュを取り出すと、楓はあわてて、頬をティッシュで拭った。

 いちごケーキメルバのクレープに、恐る恐るくちをつける。

「……あま」

 カラースプレーのかかった生クリームといちごのアイスを一緒に食べてみたら、絶妙に甘かった。

 口の中にあるアイスがチョコレートと混ざりあう。カラースプレーが砕けて、パキパキと口の中で音がする。

 食べきってしまいそうなくらい美味しかった。こんなの食べきったら、絶対に怒られるのに。

「……ありがとう、岳斗」

 いちごチョコスペシャルを食べてる岳斗に、小声で言う。

「いいってことよ」

 俺にウィンクをして、岳斗はクレープを頬張る。

「ミカ、あたしの一口食べてみて。美味しいよ?」

「俺のも食べていいよ」

 楓とクレープを交換する。

 クレープの生地と、きな粉がかかった抹茶のアイスと生クリームを一緒に食べる。

 抹茶ときなこのコンビネーションに、和を感じた。

 アイスを食べていたら、急に口の中にあんこの味が入ってきた。

 え、あんこ?

 不思議に思ってクレープをのぞき込むと、生クリームの上に、餡子がのっかっていることがわかった。

 餡蜜やお汁粉などの和風のスイーツを食べているような感じがする。

「和風のクレープなんてあるんだな。知らなかった」

 楓にクレープを返しながら呟く。

「ほんと? そしたら今度また食べてみるといいよ。とっても美味しいから!」

 そう言って、楓が俺にいちごメルバケーキのクレープを差し出す。

「うん、そうだな」

 クレープを受け取って、俺は頷いた。
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