一匹狼くん、 拾いました。弐

「……銀、お前は父さんと母さんの本当の子供じゃない。お前は、父さんがモデルとして使うために孤児院から拾ってきた子なんだよ。だからお前は、整形なんてされてない。元からその顔で生まれたんだ。

 俺は、お前の父さんと母さんと血が繋がってる。あいつらの実の子供はお前じゃなくて、俺なんだよ。俺は九歳のときに捨てられた。失敗作の烙印をおされて、一度も父さんの絵のモデルになることもなく捨てられた。父さんは俺を捨てた後に、孤児院で五歳のお前を見つけて、その顔に惚れて、お前を引き取った。金を稼ぐためにな」

 鈍器で頭を殴られるような衝撃を受ける。

「えっ、じゃあ俺が小学校のアルバムと保育園のアルバムを見比べて整形されたと思い込んだのは、保育園のに写ってたのが葵だったからなのか?」

 俺は整形されてなかったのか?

「ああ、そうだ。俺は父さんに捨てられたあと、BARの経営をしてる男に拾われて、育てられた。そのおかげで、この歳でBARの店長ができてんだ」

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