一匹狼くん、 拾いました。弐


 大人絡みで嫌なことがあると、母親を思い出す。

 再婚をした途端、俺の存在を無視したあの母親を。


 俺は元々、葵を完全に信用してたわけではない。

 でもそうだったからといって辛くないかと聞かれたら、それは別問題だ。


 ……多かれ少なかれ予想していたこととはいえ、それなりに答える。


「クソっ」

 ――信用しなければよかった。大好きな母親に無視をされて、暴力を振るわれて、大人を信用すんのなんてやめようってそう心に決めたのに。


ミカが葵をものすごい信頼していたからって、俺も信じようとしたのが間違いだったんだ。


やっぱり、大人と仲良くなろうとなんかすべきではない。


 ――大人はみんなウソツキだ。


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