あの丘でもう一度。
出会い
「あれ、もしかして翔!?」


今日から大学が始まった。小さなこの街では、小学校から大学までほぼほぼ皆同じが当たり前だ。


つまり、幼い頃この街に住んでいた翔にも知り合いがいても当然なのだ。


「うわ、友哉じゃん。久しぶり。お前全然変わってないな~。」久々に見た友との再会に翔の顔にも思わず笑みが浮かぶ。


「もう大丈夫なの?」突然の問いに翔は首を傾げた。咄嗟に事故の記憶が脳裏を過る。翔はあの事故以来、事故の話を避けてきた、朱音のことは思い出しても事故の記憶だけは消し続けてきたのだ。

「ん?何が?」「え、お前あの事故以来すっかり笑わなくなってたから笑えるようになったんだと思ってさ!」友哉にきっと悪気はない、翔は精一杯の笑顔で頷き、話題を変える。


彼女はいないのか、今あいつは何をしているのか、聞きたいこと、知りたいこと、沢山ある。入学式そっちのけですっかり話し込んでしまった。

ふと翔の目の前を何かが通過した気がして顔を上げる、目の前には勿論他の新入生たちが真剣に話を聞いている。気のせいか、再び友哉の方に目を向けた。
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