オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 いや、そんなこと言われても。
 トイレどこだっけ。
 ひとりでできる年齢?

「自分が、連れて行きます。美香さんは先にインフォメーションへ」
「へ?」
「小さな女の子を連れた母親が子供を探している様子だったら、声かけてみてもらえますか。トイレ済ませたら向かうので」
「あ、うん! オッケー!」

 エントランス横のインフォメーションに向かうと、赤ちゃんをベビーカーに乗せたママさんがいた。
 会話が聞こえてくる。
 五歳の男の子、赤いニット帽。
 もしかして。

「あの!」
「……え?」
「さっきあっちで。男の子が、迷子になってるところに出会って」
「ほんと? あっちって?」

 すごい血相だ。
 よほど心配していたのだろう。

「ここに連れてこようと思ったんですけど。おしっこ……に。行きたがって」
「え?」
「トイレ終わったら来るので。心配ないです」
「でも。あの子、ひとりで、いけないの」
「それなら――……」
「ママ~!」

 声のする方に視線を向け、ギョッとする。

「ママ、みてみて。たかいよ」

 男の子が、大地くんに肩車されてやってきたから。
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