オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

「出るぞ」
「うぅ」

 観覧車から降りると、はがされた。

「半径2メートル以内に近づくな」

 いやいや。
 それじゃ、さっきより遠いから。
 もはや知り合い以下だから。

 結局、大地くんにとってあたしってなんなの?
 嫌いじゃないけど恋人未満?

「美香」

 半円を描いて飛んできた何かを、反射的にキャッチする。

「……なん、で」

 やめてよ。

「もう返品すんな」

 こんなときに呼び捨てして、突っ返したプレゼント強引に渡してくるなんて。

「あたし……大地くんからもらったら、道端の石ころでも喜んじゃうよ」

 卑怯だよ。

「そんなもんで喜ぶのか。安い女だな」
「っ、やっと大地くんがオンナ扱いしてくれた~!」
「貶されて喜ぶなや」
「チンアナゴみて大地くんのこと。毎日。思い出すけど。いい?」
「お好きなだけどうぞ」
「……っ、ねえ。大好き」
「知ってる」

『俺も』――とは、言ってくれないんだね。

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