君がいたから

「嫌なことしてごめんな。
よしよし、すぐ痛いの治まるから、大丈夫だよ 」


蓮の腕の中で、痛みに耐えていると
薬が効いて痛みが治まってきた。



「結愛、体冷たいな 」


蓮は暖房の温度を上げカイロを貼ってくれた。

そして、私に分厚い毛布をかけて、そのまま抱き寄せられる。


ポカポカと体が温まっていくうちに、楽になりたいなんて思ってしまったことに後悔する。




「なんであんなところにずっといたの? 」


穏やかな口調だけど、
悲しそうな目をして問いかけてくる。


「…きれいな雪を見ていたの 」


自分でもわかるほどの震えた声だった。


蓮に話を聞いてもらいたい
でも全部なんて言えないよ………


一瞬でも死んだら楽になんて思ってしまった。


私のために治療してくれて、

その上、蓮は仕事で生きたくても生きられない人を

たくさん見ている。


たとえ本心でなくても、死にたくなったなんて

そんな言葉出せるわけない…


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