君がいたから

次の日


結愛は雪に長い時間うたれていたのと
抗がん剤の副作用のせいで高熱を出した。

グッスリ眠っているから、起こさないように
診察をして解熱剤の注射と背中に脊髄の注射をする。


「ウッ…………」


寝ているはずなのに、痛みを感じているみたいで、かすかに結愛の苦しそうな声がした。


捲った、袖を戻すと赤いポツポツしたものが目に入る…


治療する前は色白の肌だったのに
たった4日点滴をしただけで、肌に真っ赤なミミズ腫れができていた。


肌のかぶれ、吐き気、全身の痛み、
どれも副作用によるものだけど、

結愛の場合は他の抗がん剤を使っている患者よりも症状が重たいみたい。



とりあえず2週間抗がん剤を投与するから
まだあと10日もこんなのが続くなんて
かわいそうで仕方ない


変わってあげられるもんなら、今すぐにでも俺が変わってあげたい。

結愛の辛そうな顔を見る度に何度も何度もそう思った。



ーガラッ

結愛の手をそっと握ったとき、
病室のドアがそっと開けられた。



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