君がいたから

ドアの方に視線を向けて見ると
陽翔先生と結菜さんがいた。


「蓮、おはよう
結愛相当辛そうだな 」


「結愛…………苦しよね…」


熱が出て顔が真っ赤な結愛を見ると、心配そうな顔を浮かべる二人。


だけど、俺の方を見て少しだけ笑顔になった。


「私も結愛を見てて辛いけど、
蓮先生が結愛のことを支えてくれるのが
何よりも心強いです 」


「そうだな 」


「俺、なんて力不足ですよ
すみません 」


二人のそんな会話にキリッ…と心が痛み
申しわけなくなって深々と頭を下げる。

結愛が辛い思いしているのに支えられてないし、

こんなに熱を出させてしまったのは確実に俺のせい…



昨日もっと早く結愛のところに行ってあげれば、

あんなに溜め込む前にしっかり話を聞いてあげれば、

今さらどうにもならないような後悔が頭の中をグルグルする。


2人とも娘が辛い思いしていて苦しいはずだから

俺がしっかりしないといけないのに
自分の声が少しだけ震えているのに
気がついてしまう。



< 110 / 220 >

この作品をシェア

pagetop