君がいたから


「結愛、おはよう 」


「お…はよ…う 」


白衣姿でもカッコイイのに、

私服の蓮にドキッと心臓が音を立てて
ぎこちないあいさつになってしまう。

文化祭で蓮の私服は一度見たけど、それよりも、今日の服は落ちついた雰囲気が出ててカッコイイ。


「結愛、具合でも悪いの? 」


「悪くない。元気だよ。早く行こうよ 」

ハッとして、いつもの自分に戻って
小さめのバッグを持って病室を出ようとしたとき

手に温かさを感じる。


「結愛の手冷たい。
体まで冷えると大変だから、
今日はなるべくくっついてね 」


「…ありがとう 」


肩を引きよせられて体がピッタリとくっつくと心臓の鼓動がさらに速くなる。


「結愛、もっと嬉しそうな顔してよ 」

「嬉しいよ………でも…」

好きな人にこんなことされて、
ドキドキしない女の子いないから

察してよ…


「でも………? 」

ニヤニヤする蓮
これは絶対わざと言ってるよね…


「…なんでもない、秘密 」


「…結愛のケチ 」


ケチとかそういう問題じゃないから。


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