君がいたから

「検査結果すぐ出るから、
ここでいっしょに待ってようか 」


…嬉しい
特に不安を感じている今、蓮先生が
そばにいてくれるだけで安心する。


でも………忙しいんでしょ…?


「先生、仕事は?
一人で待ってるから。大丈夫」


「脱走しないように
見ているのも仕事だから。

それに結愛ちゃんのそばにいたいから 」


…ドキッ


「…患者は私だけじゃないでしょ? 」


口では、私だけ特別扱いしてほしいなんて
言えなくて普通のことを言うけど

体は正直で、気がつくと蓮先生の手に
自分の手を重ねてた。


「結愛ちゃんは辛いのに他の患者さんまで
心配してくれて優しいね。
でも、今は俺がこうしていたいの
我儘でごめんね 」


「ううん…ありがとう 」



指から手首まで、ぬくもりに包まれる。


視線を手に向けると
蓮先生の大きな手に握られていた。


「蓮先生の手大きいんだね
落ちつく…」


このまま、ずっと時間が止まってくれれば
良いのに…

無理だとわかっていても
そう願ってしまう。


< 55 / 220 >

この作品をシェア

pagetop