君がいたから

車に向かう途中
結愛ちゃんのことを思い浮かべる。

小柄で 色白の肌
サラサラで長い黒髪
大きな目

一目見たとき、可愛い子だと思った。



先輩の陽翔先生の娘で
病弱で病院が大嫌い。


喘息で無理をしたらダメなはずなのに走っていたからつい怒ってしまって、完全に拒絶されるかと思ったけど、そんなことはなく
心を開いて、俺のことを受け入れてくれた。


俺が守ってあげたい。
そう思わせる不思議な力があり、
それから俺は結愛ちゃんのことを意識するようになった。


結愛ちゃんが3日だけ入院したとき、結愛ちゃんのことが頭から離れなくて回診の時間以外にもこっそり見にいったりした。


自分でも、気持ち悪いと思うくらい結愛ちゃんのことばっかりで、

退院をしたとき連絡先を交換して、
そのあとも結愛ちゃんの学校に文化祭に行ったりした。


だんだんと結愛ちゃんとの距離も近くなって
好き、 付き合いたいって告白したかったけど
引かれたり、嫌われたりするのが怖くて
結局はっきりと伝えることはできてない。

男のくせに情けない…


それに年の差もあり、医者と患者…
もし告白したら結愛ちゃんにも迷惑がかかる。


だから

この想いは胸にしまっておく…
そう決めたけど、やっぱり俺は結愛ちゃんが誰よりも大切なんだと気づいてしまった。


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