直球すぎです、成瀬くん

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中に入ると数人が雑談をしながら残っているだけで、ほとんどの生徒はいなくなっていた。



「……あ、れ…か、帰ってなかったんですか……?」

「……おまえこそ。つか何ソレ」


椅子の背もたれに寄りかかりながらスマホを操作していたその人は、私が控えめに声をかけるとそれに反応した。


「…明日の朝のホームルームで配るプリントです」


やっとの思いでプリントを机に置くと、成瀬くんはその山を見つめた。


「…何でおまえが?」

「…明日、日直だからです」


答えると、成瀬くんは暫し黙ったあと、スマホを持っていた手を膝の上に落とした。


「日直なら俺もだろ、何でおまえだけ?」

「…な、成瀬くん、朝いたりいなかったりするからって、先生が…」


そこまで言って、はっと口をつぐんだ。

いくら先生がそう言ってたからって、そのまま言うことないじゃん私………!


「…ご、ごめんなさい、今のは……」

「いいって、実際そうだし」

「……」

「俺に気遣うの禁止。つか担任サボり?明日いねぇの?」

「……な、何か、朝に用事があるみたいです…」

「へー」


聞いておいて全く興味のなさそうな声色でそう返した成瀬くんは、私が椅子に座る様子をじ、と見ている。


視線が痛いけれど…この作業は今日終わらせて帰らないと………



「…おまえ何してんの、帰んねーの?」


プリントの仕分けを始めた私に、隣の成瀬くんから怪訝そうな声が飛んできた。


「…あ、明日、スムーズに配れるように、今やっておきたくて…」

「は?そんなん明日でいーだろ。そもそもその作業いらなくね、配るだけだろ」

「…でも…明日何かあって、時間かかっちゃったら、みんなに迷惑かかるし……それだけは、したくないので…」



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