直球すぎです、成瀬くん



みんなの迷惑にだけはなりたくない……だから…


「ったく、めんどくせー」

「………え…?」


大きなため息が聞こえてきたと思ったら、横から腕が伸びてきて思わずビクリと肩が上がる。


「貸せ」

「……えっ…」

「その量おまえ1人じゃ明日んなっても終わんねーわ」

「……っな……」


成瀬くんは私の机から半分以上のプリントを持っていくと、それを自分の机にドンと置いた。





「……」

「……」


先ほどから、私たちの間には紙をめくる音だけが響く。

教室に残っていた数人の生徒も、気づけばいなくなっていた。



………み、妙に緊張してしまうのは、どうしてだろう……


放課後の教室。あまりに静かだからか、そして相手が成瀬くんだからか、この沈黙に耐えられなくなってきている私がいる。


……ここ数日で成瀬くんと話すことが増えたけれど、当初から抱いていた苦手意識がなくなったわけじゃない。

何を考えているのか読み取りづらい表情に、口を開けばあまりにもストレートな物言い……

成瀬くんのようにちゃんと言葉にできるように…とは思っているけれど、やはり、その雰囲気に圧倒されることが多くて……緊張してしまう。



……で、でも、そろそろ、耐えられない…かも……な、何か、話題……


「おまえ、ほんとはどこ行きたかったの?」


「………え…、」


必死に考えを巡らせる私に、唐突に成瀬くんが口を開いた。


……ど、どこに…って………な、何の話だろう……?


僅かに首を傾げると、成瀬くんは続けた。


「前に、西内たちと放課後どこ行くかで、おまえ遠慮して何も言わなかっただろ」



…………あ………

少し考えて、思い出した。いつもの4人で、初めて遊びに行くことになった放課後……


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