直球すぎです、成瀬くん
百叶のこぼした言葉を聞きながら、走る成瀬くんに目を向ける。
……足の速い人って、無条件でキラキラして見えるのは何でなんだろう………
「百叶ー、柚ー、次女子の100mやるってー!」
ぼーっと見ていたら、向こうから、同じく100m走に出る女子の声が飛んできて、私はハッとした。
「ありがとうー!今行く〜」
それに百叶が応えると、行こ、と立ち上がった。
選抜リレーほどの得点にはならないけれど、優勝を狙うクラスのため、私だって少しでも力になりたい。
そんな思いで練習を毎回走るけれど、クラス内での順位はいつも5位前後をさまよっている。
……今日こそは、せめて、3位以内に入りたい…
思いを胸に、スタート位置につく。
ーーーパン
スタートの合図とともに、思い切り地面を蹴って走り出す。
腕を必死に動かして、何とか、前を走る人を追いかける。
「…っい…!」
コーナーに差しかかった時、右足にものすごい違和感……痛みを感じた。
思わず声が漏れ、私は思わずその場で転んでしまった。
「ゆ、柚…っ!」
気づけば私の周りには、駆け寄ってきてくれた女子がたくさんいた。
「センセー!宮藤さんケガしたー!」
「柚っ、大丈夫…?」
私の目の前には、私の顔と足を交互に心配そうに見つめる百叶。
「保健室行こう、柚…!大丈夫?立てる……?」
そう言いながら、百叶は私の腕を取って自らの肩に回した。
「あたしも手伝う…!」
「俺運ぶからいーよ」
「……っえ…」
もう1人の女子が私を支えて立ち上がらせようとしたタイミングで、頭の上から、落ち着いた声が降ってきた。