直球すぎです、成瀬くん



そして次の瞬間、私はその声の主に抱き抱えられていた。


「な、成瀬くん…!」


こ、これ、もしかして、お姫様抱っこってものでは……!


それを認識した途端、恥ずかしさで爆発しそうになる。


周りの女子の視線、驚く声、そして百叶の心配そうな顔………


「な、成瀬くん、大丈夫です…!私歩けます…!」


耐えきれず、私は成瀬くんを見上げた。

しかし…


「うるせぇ、ケガ人は黙ってろ」



成瀬くんは下ろしてくれず、私はそのまま保健室へ運ばれた。






「失礼します」


私を抱えたまま、成瀬くんは器用に保健室のドアを開けて中に声をかけた。


しかし返答はなく、そこに先生の姿もなかった。



「…いねーのかよ」


成瀬くんはそこにあった椅子を引っ張り出すと、そっと私を下ろしてくれた。


そのまま、やや乱暴な様子で成瀬くんは戸棚の中を探し始めた。


やがて、何かを見つけた成瀬くんはそれを手にすると、私の前に座った。

そして、慣れた手つきで私の足の手当てを始めた。


お互い無言のまま、私もこんなことになってしまって申し訳なさと情けなさで何も言えずに、ただ成瀬くんが手当してくれるのを黙って見ていた。



「…アホだろ、ちょっと走ったくらいで捻挫とか」


湿布を貼ってテーピングまでしてくれた成瀬くんは、いつもの口調でそう言った。



「……すみません…」


私も、まさかこんなことになるなんて思わなかった…




「……とりあえず、これでいいだろ」


転んで擦りむいた膝の消毒に、絆創膏まで貼ってくれた成瀬くんは、手当てを終えると立ち上がった。

その瞬間、




ーーーカチャン…!




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