直球すぎです、成瀬くん
「よっしゃレッサーパンダ!!」
中に入るなり、宮城くんはレッサーパンダ目がけて一直線に走り出した。
その後ろ姿はまるで小学生みたい。
私も百叶もその姿に笑いながら、少し走ってそのあとを追う。
……何だかんだ、私もものすごく久しぶりに動物園に来た気がする。
最後に来たのは……それこそ小学生の頃かな…その頃は、確かまだパンダがいたんだよね……
夏休み中だから、家族連れが多く賑わっている園内。
人混みの中を何とか進み、ようやく、宮城くんお目当てのレッサーパンダの展示スペースにたどり着いた。
「ゆずゆず!ももちゃん!ホラ見てよ!やっぱり実物は100倍可愛い!」
童心に返ったように目をキラキラさせた宮城くんは、レッサーパンダを指すと嬉しそうにはしゃいでいる。
「…私、レッサーパンダちゃんと見たの初めてかも…」
百叶が呟くように言った。周りは賑やかなのに、宮城くんはその声を聞き取ったみたいで、笑顔で振り返った。
「まじ?じゃあもっとこっち来なよ!こっちのがよく見えるから!」
戸惑う百叶にはお構いなしに、宮城くんは「ほらこっち!」と百叶の腕を引いた。
「…帰りてぇ」
「なっ、成瀬くん……!」
百叶と宮城くんを見ていたら、げっそりした様子の成瀬くんが私の隣に来た。
「人多すぎ」
「…な、夏休みですもんね…!」
隣の成瀬くんを見上げると、その視線は、レッサーパンダを見る2人の背中に向かっていた。
「……あの2人、仲良かったっけ」
「…どうなんでしょう…私も今知りました」
「ふーん」
成瀬くんは興味があるのかないのかわからないニュアンスでそう言うと、「おまえもあっちで見てこいよ」と顎をくいっと動かした。