直球すぎです、成瀬くん



「じゃあ、ごめんね、先帰るね…!」

「うん、また明日ね」


今日は急いで帰らなきゃいけないからと、百叶は両手を合わせると駆け足で教室を出て行った。



私は……今日の実験レポート、まとめてから帰ろうかな…


放課後になると教室の暖房は切れてしまうので、私は荷物をまとめると図書室へ向かった。



廊下はひんやりとしているけれど、図書室のドアを開けると、ふわりと暖かい空気が溢れてきた。


図書室は、この時間でも暖房が入っていることを最近知った。おまけに、この時間は生徒もほとんどいない。静かな空間でゆっくりレポートをまとめるにはこの上ない環境。




お気に入りのいつもの窓際の席に向かおうとしたら、どこからか視線を感じた。



「…ここ座れば?」



隅に置いてある大きめの4人掛けのテーブル、その椅子の1つに座って私に手招きをしているのは、全く予想していなかった人だった。



「な、成瀬くん…?」


目を丸くしてその場で立ち止まっている私に、成瀬くんは急かすように自分の向かいの席を指でとんとん、と示した。


私はそのまま、成瀬くんの向かいの椅子に腰を下ろした。




「おまえ、今日西内と帰んねーの」

「よ、用事があって、急いで帰らなきゃいけないみたいで…」

「へー。で、ココに何しに来たの」

「今日の実験レポートを終わらせちゃおうと思って…」



今日の授業でペアになったおかげで久しぶりに話したもののまだ若干ぎこちない私に対して、成瀬くんは至っていつも通り。



「え、あれ今やんの?提出来週なのに?」

「はい」

「あんなんソッコー終わんだから別に今残ってまでやんなくてもよくね?」

「今日のうちにやっておきたいんです」

「…あっそ、別にどーでもいいけど」


そう言うと、成瀬くんはポケットからスマホを取り出した。



……やっぱり、いつも通りの成瀬くんだ………





< 205 / 272 >

この作品をシェア

pagetop