直球すぎです、成瀬くん
鞄からレポート用紙を取り出しながら、目の前の成瀬くんに訊く。
「…成瀬くんはどうしてここに…?」
成瀬くんは一瞬ちらりと私に視線を移したものの、すぐスマホに戻した。
「…何か、用事あったんですか?」
「……静かなとこ好きなんだよな」
スマホを操作したまま、ひとりごとを言うみたいに口を開いた。
「…物置じゃなくて…?」
「あそこ最近さみーんだよ、暖房入んねえから」
「だから図書室に?」
「そー」
「え、用ないのに来るんですか…?」
「うるせーよおまえ、黙ってさっさとレポート終わらせろよ」
手の甲でしっしっと私を促す。
選ぶ言葉こそ少し強いものの、下がった眉と唇の片方の端をくいっと上げたその表情に、私は少し嬉しくなった。
……やっぱり、いつも通りだ…
よかった、私が気にしすぎだったんだ………!
順調にレポートを進めていると、ふと向かいの成瀬くんが口を開いた。
「最近どうだよ、西内たちにちゃんと言えるようになったか?」
手を止めて顔を上げると、意外にも成瀬くんの視線は私に向いていた。
「…あ、前よりは、言えるようになりました」
「…俺相手くらい?」
「え、いや…さすがにまだそこまでは…」
そこに行き着くのにあとどれくらいかかるんだろうと想像してみたけれど、すぐには浮かばなかった。
「…まあ、俺相手なら別に何言って嫌われてもいいしな」
呟くように出てきた言葉に、私は少しの違和感を感じた。
……何か、前にも似たようなことを言われた気が………
「ま、せいぜい他のやつにもちゃんと口答えできるよーに頑張れよ」
「く、口答えって…!そんな言い方…もっと他に表現あるじゃないですか……!」
慌てて返すと、目の前の成瀬くんは喉を鳴らしながら「そーそーその調子」と目を細めた。