直球すぎです、成瀬くん



「あたし、実を言うと、柚との間にうすーーい壁みたいなのを感じること多かったの。何か、一線引かれてる?みたいな。でも、いつも笑って接してくれる柚は、あたしたちが楽しめるように色々考えてくれてるんだなって、何となく思ってたの。いつも合わせてくれてたのも、あたしたちのこと考えてのことなのかなーって。確証は全っ然なかったけどね!」


そう言って、私にいつもの眩しい笑顔を向けてくれた。



………みんな、そんな風に思っててくれたんだ…………



「柚はちょっと優しすぎ。私たち、こうして出会って仲良くなれたんだから、遠慮なんていらないよ。もっと言いたいこと言っていいんだよ」


穏やかに、ゆったりとした口調で、百叶が私の背中をさすってくれた。



「確かに!柚がもっと思ったこと言ってくれるようになったら、もっと楽しくなりそう!」

「仲良いのに壁あるの、やっぱり何か引っかかるしね」

「百叶、まりなちゃん、玲可ちゃん……ありがとう……」


ふっと、ずっと張り詰めていた糸が緩んだみたいに、私の目からは大粒の涙が溢れてきた。



「柚のことだから、これ話すのも、ここに私たちを集めるのも、すごく勇気がいったんだよね」


ずっと背中をさすってくれている百叶の問いかけに、私は顔を覆いながら何度も頷いた。



「いいんだよ、ちょっとずつで」

「そうそう!柚のペースでね!」



私はようやく涙を拭うと、3人の顔をしっかりと見つめた。



「ありがとう、本当に………少しずつ、頑張ってみるね……!」


私の言葉に、3人は真っ直ぐに頷いてくれた。



ずっと心のどこかで引っかかっていたものが解けた気がした。

嫌われるのが怖いって気持ちが完全に消えたわけじゃないけれど、私の言葉を受け止めて、こんな風に言ってくれる3人がいる。


もう、何も怖いものなんてない気がする。




「ハイ、チョコあげる!」

「…え…?」


目の前のまりなちゃんが、私にキャンディー状のチョコレートを差し出す。


「柚が勇気出して話してくれた記念…?」

「何ソレ〜!」

「ありがとう…あの、またみんなのこと、お昼誘ってもいい…?」

「え、当たり前じゃん!明日も集まろうよ!」

「まりな、明日土曜だよ」

「ウソ初耳」


みんな一斉に声を上げて笑った。


こんな尊い毎日を、私は絶対に守りたいと思った。




< 211 / 272 >

この作品をシェア

pagetop