直球すぎです、成瀬くん
季節はすっかり秋………というよりも、少しずつ冬らしく感じる日が増えてきた、11月半ば。
「…まだ終わんねーの?」
日誌を書く私の前の席の椅子にまたがって、背もたれにもたれてグラグラさせながら気怠げに聞いてきたのは、言うまでもなく、成瀬くん。
「だから大丈夫です、私1人でできます…!」
「おまえ1人で残るっつーから手伝ってやろうとしてんのに」
「日誌だけなのでほんとにすぐ終わります…!」
もう1人の日直の人は部活に急いで行かないといけないらしく、申し訳なさそうに何度も謝りながら足早に教室を出て行った。
「…でも、懐かしーな、この感じ」
「……え?」
「1年の時おまえ日直で、1人で残ってそーやって日誌書いてたの、俺手伝ったよな」
……ああ、確かに、そんなこともあった………ん、あれ…?
「…え、ちがいますよ、成瀬くん手伝ったじゃなくて、成瀬くんも日直でしたよね?私1人でやってたんですよ、成瀬くんいないから」
「……おーそうだっけ」
「うそ、忘れたんですか…!?」
「どーだかな」
くっくっと喉を鳴らして楽しそうに笑う成瀬くんを見る機会が、ここ最近増えた気がする。
「……よし、終わりました!」
そのタイミングで窓の外から声が聞こえて、ふとその方を見ると、野球部の練習風景が見えた。
「おまえもだいぶ変わったな」
「…え?」
私と同じように窓の外を見ていた成瀬くんは、そのまま続けた。
「嫌われたくない、怖いってずーっとウダウダウジウジしてたのが、今やっと普通の人間になったというか」
「だから成瀬くん、もうちょっと言葉を選んでから…」
「俺にも当たり前に口答えできるようになったしな」
「これは口答えじゃないです…!」
「そーかよ」
片方の口の端をきゅっと上げる成瀬くん。