直球すぎです、成瀬くん
改めて、成瀬くんは整った顔をしているなあ……とぼーっと見ていたら、不意に視線を感じて我にかえる。
「何見てんの」
「っえ、あっ、いや、何でも……」
慌てて視線を窓の外に移してはぐらかすと、特に何の感情もないような「ふーん」が飛んできた。
「…っこ、ここ寒いので私、教室で待ってますね…!」
何だか少し恥ずかしくなってしまい、私はそれから逃げるように立ち上がる。
では、と鞄を持ち上げようとしたら、成瀬くんに引かれた手首。
「え……」
一瞬何が起こったのか全く理解できないうちに、気づいたら私は、成瀬くんの腕の中にいた。
「………」
全身が心臓になったみたいに、ドッドッと大きな音を立てる。
成瀬くんの体温を背中に感じて、それを認識した途端更に速度を上げる。
「…これならどーよ」
「っ、」
成瀬くんの低い声がすぐそこで聞こえて、耳に少しかかった息に、今度は私の顔がどんどん温度を上げていく。
………心臓が、うるさい…
「…あったかい?」
「……あ……たかい、です…」
「ん」
「っ、!」
短く返事をした成瀬くんの顔が、次は私の首元に近づく気配がした。
そのまま私の首に顔を埋めた成瀬くんに、私はいよいよ恥ずかしさでおかしくなりそうだった。
……何これ……どういうこと………?何でこんなことになってるの…………!?
頭の中で大パニックを起こしている私に気づくわけもなく、成瀬くんは私の体に回した腕にギュッと力を込めた。
「………っあの、な、成瀬、くん……」
「…んー?」
「……ノ、ノート………これじゃ、写せないですよ……?」
「………」
私は、この状況に動揺しまくっているのを絶対に悟られてはいけないと、何とかして冷静に振る舞おうと頭をフル回転させて声を振り絞ったのだけれど……成瀬くんからの返答が一向に来ない。
しばらくして、深いため息を吐きながら私から体を離した成瀬くんは、特に低い声で言い放った。
「マジでおまえ、マジで…」
「…え……」
ノートと鞄を持ち、乱暴に立ち上がる。
「……あの、私何か、また怒らせるようなこと言っ…」
「おまえマジでありえねー」
私を置いてさっさと物置を出て行った成瀬くんの背中が、やけに揺れて見えた。