直球すぎです、成瀬くん
「………あ、の……な、何か、お話とかですか…?……あ、いや、違いますよね……あ、テスト範囲のノートですか…?ノートなら教室にあるので、あとで休み時間か放課後に…」
私が話し始めると、大きくため息を吐いた成瀬くん。
……え………?
…もしかして私、また何か怒らせるようなこと言っちゃってた………?
思い当たる節がなくて必死に思い出そうとしていると、今度はどうしてか、珍しく眉間に皺を寄せた苦しそうな表情を浮かべて下唇を噛んでいる。
一体、どうしたの……
「……おまえ、もう1人で大丈夫だろ…俺いなくても」
「………え……」
ようやく成瀬くんが口を開いたかと思えば、飛び出してきたのは予想すらしていなかった言葉。
「…おまえ、もう十分変わったよ」
……な、何の話……してるの………?
「…俺は、おまえが思うほど大した人間じゃねえよ。すげーのはおまえで、俺じゃない、ていうかそもそも俺いなくたっておまえは変われてた」
「え…ちょ、ちょっと成瀬くん…?いきなり何の話…」
「おまえが変われるようにって、一丁前に色々言ったり急に呼び出したりして悪かったな」
「まって、成瀬くん、何を…」
「もう呼ばねーから、おまえももうここ来んなよ」
私に何かを言う隙すら与えてもらえず、一方的に言いきった成瀬くんはそのまま物置を出て行った。
成瀬くんが物置のドアを閉めたのと同時に、ピシャリ、と扉を閉められた気がした。
今この一瞬に起こったことに全く頭が追いつかなくて、さっき見た苦しそうな表情と去っていく背中が、交互に浮かんでは消えた。