直球すぎです、成瀬くん
百叶から元気をもらえたおかげで、気分は少しずつ前向きになっていた。
百叶と別れ家路を辿っていると、煌々としたコンビニから、同じ制服を着た男子が出てくるところを見つけた。
……え………あれ………成瀬くん………?
まさかすぎるその姿に、私は思わず足を止めた。
しかし、そうこうしているうちに成瀬くんはさっさと歩いて行ってしまう。
ど、どうしよう、何て伝えたらいいんだろう……どんな言葉を選べば、成瀬くんにちゃんと伝わるだろう…………
頭の中でぐるぐると考えながらいつもの角を曲がると、その先の交差点の信号待ちで立ち止まっているその背中を見つけた。
………今、ちゃんと言うしかない……このままずるずる話せなくなるのいやだ…………
一度深呼吸をして、私はその背中に呼びかけた。
「…っな、成瀬くん……!」
私の呼びかけに、振り返った成瀬くんは一瞬目を見開いた。
けれどすぐに、気怠げな表情に戻る。
「……何」
周りで響く車のエンジン音や、仕事終わりのサラリーマンたちの賑やかな話し声に、その低い声は僅かに聞き取れるくらいのものだった。
………大丈夫。ちゃんと言葉にすれば、伝わるはず……
私はまたひとつ呼吸をした。
「……私、前にも言いましたよね、私が変われたのは成瀬くんのおかげだって……成瀬くんがいたから、成瀬くんみたいになりたいって思ったから、変わりたいって思えたんです」
黙ったまま私をじ、と見下ろす成瀬くんに、私はグッと心を強く持って、続けた。
「…ちゃんと言葉にすることが大切なことだって、成瀬くんが教えてくれました……だから、私からも1つ、言わせてください…」
「……」
「…大切だってわかってる……だけど、その言葉で合ってるかなって、考えるのも、同じくらい大事だと思うんです…」