直球すぎです、成瀬くん
チャイムが鳴り、長かったテストから解放された教室は、もう一気に冬休みモード。
先生の、賑やかな教室を制する声が何度か響いて、ようやく帰りのホームルームが始まった。
冬休みまであと数日。冬休み前最後の日はクリスマス、そして………
ホームルーム中、私は何が何でも今日、成瀬くんと話をすると決めていた。
昨日の帰りに百叶からたくさん力をもらったから、それも少しも無駄にできない。
どう話そうか、改めて頭の中で必死に予行練習をしていたら、いつの間にかホームルームは終わっていた。
再び賑やかになった教室に気づいて、私は慌てて成瀬くんの席を確認する。
まだいる……!!
私は急いで駆けつけた。
「っあの、成瀬くん…!」
まさに今立ち上がろうとしていた成瀬くんは、私に気づくと一瞬硬直したように動きを止めた。
「あの、今、少し時間ありますか?話、したくて…」
言えた……やっと聞いてもらえた…………
「…悪い」
けれど、私と一度も目を合わせることなく、そのまま教室を出て行った。
呆然と、出て行ったその背中を目で追っていたら、宮城くんがダッシュで成瀬くんを追いかける様子が見えた。
「……柚」
立ち尽くす私に、遠慮がちに声をかけてきた百叶。
その表情は、悔しさと怒りが混ざっているように見えた。
「…今日はだめだった…何か用事あったのかも…」
何とか口角を引き上げて表情を作ってみせたけれど、百叶はより怒りが増したような顔つきで口を開いた。
「…柚、やっぱり私が…」
「大丈夫だよ」
「だって……柚見てると辛いんだもん…やっぱりおかしいよ、どうして柚がこんな…」
「ありがとう百叶。…私は大丈夫。私がちゃんと成瀬くんと話すから。なかなか変われなかった私を、成瀬くんは諦めないで向き合ってくれた。だから私も、成瀬くんとちゃんと話すことを諦めたくないの」
まるで自分のことのように苦しそうにする百叶にそう伝えると、はっとしたように、私を真っ直ぐ見つめる百叶。
「…そうだった、柚が強い気持ちを持ってそう決めたんだもんね、ごめん、つい…」
「ううん、ありがとう。また明日、頑張ってみるよ」