直球すぎです、成瀬くん
……………しかし、いくら待っても成瀬くんは現れない。
暖房の効かない物置。黙って座っているだけだと寒くなってきた。
何度も成瀬くんに呼び出されて、少し見慣れた空間をもう一度ぐるりと見渡す。
私は、初めてここに来た時のことを思い出した。
変わりたいと思った。
でも、なかなか変われなかった。
たぶんまだ、勇気がなかった。恐怖心の方が大きかった。
そんな私の、硬くて分厚くてしぶとい殻を破るきっかけをくれたあの日のこと。
『言えたじゃん、おまえが今、思ったこと』
今でもはっきり思い出せる、あの日のこと。
咄嗟に謝ろうとしたら、何だか少しだけ嬉しそうな顔をしていた成瀬くんのこと。
初めて、自分の口から思ったままを言えたこと。
これを言ったら相手がどう思うか、嫌われたくない思いが強すぎて、いつも自分の気持ちは何重にも袋の中にしまい込んで、きつく紐で結んで、そんなことを続けていたらいつの間にか、本当の自分の気持ちなんてもう自分でもわからなくなっていた。
長い時間をかけて、本当の気持ちはきっと他の何かに変わっていた。
そんな私に、成瀬くんはずっと向き合ってくれた。
言葉は本当にストレートすぎて、苦手だった。
でも、その強さがなかったら私はきっと今も、あのままだった。
間違いなく、私は成瀬くんのおかげで変われた。
成瀬くんがいたから、私は、前よりずっと息がしやすくなった。
「…っ、!」
不意に、ドアの向こうから足音が近づいてくるのを感じた。
成瀬くん………!?