直球すぎです、成瀬くん
「いやー今年も何とか終わりましたねぇ」
しかし、聞こえてきたのは先生の声。
ドアに近づいてくる気配がして、私は反射的に棚の後ろに身を隠した。
「ええ、休み期間中も事故などなければいいですがね」
「たまに羽目外す生徒もいますからねー」
身を固くして、どうしてか呼吸も止めながら先生が去るのをじっと待っていたら……
〝ガチャン〟
「まあ、ないことを祈りましょう」
「いやあー、にしても1年て本当にあっという間ですよ」
「年々早く感じるのは歳のせいですかねー」
ははは、と笑い声が遠ざかる。
棚の後ろからそっと出て、ドアに手をかける。
「………うそ……」
ガチャン、と無機質な音を立てて、僅かな隙間を開けただけで動きを止めたドア。
建てつけが悪いとかじゃない……本当に開かない………
「…っあの!すいません!中にいます……!!」
ドアの外に向かって、必死に声を出した。
「すいません!誰か……!」
ドアを必死に叩く。
けれど、ドアの向こうはしんと静まり返っていて、誰の気配もない。
うそ……どうしよう…………
頭の中に、百叶の声がよぎった。
連絡しよう…………と、思いかけて、やめた。
ここを開けられるのはきっと先生だけだし、百叶は今頃宮城くんとパーティのための買い出しをしているはず。そんな中、私がたった1人で閉じ込められたなんて、恥ずかしくてとても言えない。何度も心配して声をかけてくれた百叶に、あんなに力強く、成瀬くんを連れて行くなんて言ったくせに…………
「…っすみません……!誰か…!!」
再度ドアを叩いて声を出すものの、やはり向こう側には何の気配もない。
………どうしよう………私、今日このまま………?というか、今日どころか、冬休み中ずっとここにいることになるの…………?
そんなの嫌……でも、どうやってここから出る………?
必死で頭の中を回転させる。
ふと、窓が目に入った。
窓開けて、飛び降りるしかない…………
恐る恐る窓を開けると、びゅう、と冷たい風が吹き込んできて思わず身震いした。
身を乗り出して下を覗き込む。
3階………は、思ったよりも高い………けど、頑張れば飛び降りれないわけじゃ…………いや、やっぱり無謀な高さだよね…………?
どうにかしてここから出ないといけない、けれど恐怖心で、気持ちがぐらつく。