直球すぎです、成瀬くん
「…いんのか?」
窓台に足をかけようとした私の背中に、突如飛び込んできた声。
「………え…………」
私、いよいよ頭がおかしくなったのかな……幻聴が聞こえるようになるなんて………
「…おい、いるなら返事しろ」
「……え…、」
再び聞こえた声。
何度も聞いた、聞き慣れた、私の、好きな人の声……
「……な、成瀬、くん………?」
震える声を何とか隠しながら、ドアの向こうに呼びかける。
「……おまえまだいたのかよ」
……ああ、ほら、
やっぱり成瀬くんは来てくれた…………
「っな、成瀬くん……!」
私は椅子から飛び降りると、一直線にドアに駆け寄る。
ガチャン、と音を立てて動きを止めるドア。
「………は…?」
向こうから、困惑したような、苛ついたような声が聞こえた。
「…おまえ、何で鍵してんの、さっさと開けろよ」
「ち、違うの成瀬くん、私…中にいるの気づかれなくて、先生に鍵閉められちゃって…」
「…は?」
「で、でも大丈夫です、成瀬くんの声を聞いたらものすごく勇気が出ました…!今、窓から外に出ようとしてたところです、なので成瀬くん先に外に…」
「は?おまえ何言ってんの」
尚も苛ついた声の成瀬くんは、ほんの数秒後、「ちょっと離れてろよ」と言った。
「…え…?」
「いいからドアから離れろっつってんだよさっさと離れろ!」
「っ、!」
成瀬くんから今までに聞いたことのない声量に、思わず肩がびくりと上がった。
口調の強さに、私はその言葉通りドアから離れて距離を取った。
「離れたか」
「っはい、」
成瀬くん、一体何する………
「っ、!」
返事をした次の瞬間、ものすごい音を立てて、ドアが開いた。
……いや、開いた…というより、外れた………?