直球すぎです、成瀬くん




何度か転びそうになりながらも、先生に見つかることなく何とか外へと出られた。


息を整えながら歩いているうちに、掴まれていた手は解放されていた。



黙ったまま私の少し先を歩くその背中に、今度こそ届くようにと、名前を呼んだ。



「…成瀬くん」

「……」


私の声に反応してか、足を止めた。


「…成瀬くん、私の話、聞いてください」

「……」



黙ったままの成瀬くんに駆け寄る。

そっと見上げると、少し気まずそうにしながらも、今度はちゃんと目を合わせてくれた。



「……今の私が、自分の気持ちを言葉にできるようになったのは、成瀬くんが、どんな私の言葉も受け止めてくれたからです」

「……」

「正直に話すと、成瀬くんのこと、怖かったんです。何でもハッキリ言うし、口調だっていつも強いし……苦手でした…」

「……だろうな」


ふっと鼻で笑うように、どこか諦めたように、遠くに視線をやる成瀬くん。



「でも、私にはないものをたくさん持ってた。はっきりと言葉にして伝える成瀬くんに、いつの間にか憧れていたんです。だから、私も成瀬くんみたいになりたいって思えたんです、だから変われたんです」

「……」

「ちゃんと自分の言葉で自分のこと話せるようになったら、不思議と心が軽くなったんです。本当の自分の気持ちなんてわからなくなるほど考えてた、みんなに合わせる言葉、誰からも嫌われない自分を必死になって作ってた。……でも、今まで私が必死になってたことは、本当は必要のないことだったんだって、思えたんです。だって、前の自分には全く想像もできなかったけれど、成瀬くんのおかげで変われた今、すごく楽しい」


そう言って笑顔を向けると、成瀬くんは私を真っ直ぐに見た。


「前よりもずっと、みんなとちゃんと話せてる気がする、心から笑ってるって思える。だから、成瀬くんがいなくても変われたなんて少しも思ってない…!成瀬くんはすごいんです、誰が何と言おうと、これだけは自信を持って言いきれます。だからもう、あんな風に自分自身を否定しないでください…」


私の今の気持ちを真っ直ぐに、自分の言葉で成瀬くんに伝えた。

どうか、成瀬くんに届いてほしい…………






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