直球すぎです、成瀬くん
「…おまえ、やっぱアホ」
思考が完全に停止していた私は、成瀬くんのいつも通りの口ぶりに、ようやく意識を自分の中に取り戻すことができた。
「なっ…そんな…改めて言わなくたっていいです、そんなの重々承知で…」
「俺がいつおまえを嫌いって言った?」
「………え…?………え、この前、言ったじゃないですか、最後に…」
……もう思い出したくもなかった……あの、一瞬にして音も光も消えたあの瞬間を…
「………それ、おまえに言ってねーし、つかひとりごとだしそれ。何聞き取ってんだよ地獄耳かよ」
何だよそれ、と言いながら自身の髪を乱暴にかき乱す。
「…おまえにあんなこと言われて、それまで全く気づいてなかった、気づこうともしてなかった自分に心底苛ついて、自分に言ったんだよ嫌いだって。……勝手におまえのこと嫌いってことにしてんじゃねーよ」
「…………え……」
「だいたい、あんなんでおまえのこと嫌いになるとでも思ってんの?こっちは1年以上前からおまえのこと好きなんだよ舐めんなバカ」
一息で言いきった成瀬くんは、ぱっと視線を逸らした。
「…………え、え……嘘…」
「嘘じゃねーよ」
「………じゃあ…夢……?」
「夢でもねーよ」
そう言って、成瀬くんは私の手を引くと、力強く抱き締めた。
「…い、痛い痛い痛い…!」
「夢じゃねえだろ」
ふっと腕の力を緩めて少し体を離すと、成瀬くんは私をじっと見つめる。
…………これは、本当に現実…………?
「……こんなんなるの初めてで、どうしたらいいかわかんなくなってたんだよ…」
………うそ…………成瀬くんが、私を…………?
そっぽを向きながらぶつぶつと話す成瀬くんの横顔を見ていたら、堰き止めようとしていた成瀬くんへの気持ちが一気に溢れてきた。
「…おまえもう、言いたいこと全部言ったか?」
「…私、成瀬くんが好きです…大好きです」
言いながら、もう止めることを諦めたように涙が溢れ出す。
「わかったって、わかった」
困ったように笑いながら、指で優しく涙を拭ってくれる。
「宮藤、おまえのことが好きだ」
そう言った成瀬くんの真っ直ぐな瞳の中に、ちゃんと私が映っていた。
「俺と付き合ってください」
「…っはい…よろしくお願いします…!」
こつん、と額と額がぶつかる。
お互い、声が漏れるように笑った。成瀬くんの体温が触れているところから、愛おしさが溢れてくる。
「…ってー!痛てぇ!」
「さっきのお返しです!」
胸がいっぱいになって、私は目の前の成瀬くんを思いきり抱き締めた。