直球すぎです、成瀬くん
【いつものとこ】
昼休みの開始を知らせるチャイムとともに、スマホが鳴った。
そのメッセージを見て、私はすぐに百叶の席へ向かう。
「百叶ごめん、今日のお昼、成瀬くんと食べるね」
「うん、いってらっしゃい」
百叶に手を振り、私は駆け足でその場所へ向かった。
ーーー2年生のクリスマス。
あの日成瀬くんがドアを蹴破ったことにより常時鍵がかけられるようになった物置には入れなくなった。
すると成瀬くんは、またどうやって見つけたのか、誰も使用していないらしい化学準備室を次なるお昼の集合場所として指定するようになった。
人気のない廊下を見回して、私はそっと中に入る。
「お待たせしました…!」
「ん」
「……え…?」
椅子に座って待っていた成瀬くんは、私が中に入るなり両手を広げた。
「え、じゃねーよ」
「わっ…!」
次の瞬間には手を引かれ、成瀬くんの両腕は私の腰に回されていた。
「…あー落ち着く」
「……何かありましたか…?」
顔を埋めてくる成瀬くんの柔らかい髪にそっと触れると、ゆっくり顔を上げた成瀬くんの表情は、どうしてかふてくされているように見えた。
「…何もねえよ、理由ないと触れちゃダメなの」
「そっ、そんなことは…ない、ですけど…」
「……やっぱり帰りくらい毎日一緒に帰りたいんだけど」
「え…」
「朝は西内さんに譲るけど、帰りは俺にしてよ」
「え……」
あまりこういうことを言ってこないから、私は面食らってしばらく固まってしまう。
「…ねえ、聞いてんの?」
「え…あ、やっぱり、何かありました…?」
やっぱり少し変な気がして、私は再度成瀬くんに尋ねる。