直球すぎです、成瀬くん
「……やっぱいいわ」
「………え……」
頭の中で必死に言葉を探していたら、成瀬くんがそんなことを言った。
「え、でも…」
急に引いた成瀬くんに、途端に何だか寂しくなってしまう。
「放課後、俺が直接西内さんに頼みに行くわ」
「……え……?」
「その方がいい」
「え……」
「俺がプレゼンしに行けば西内さんも断れないだろ」
「え…!?」
成瀬くんは自分の中で解決したのか、晴れやかな顔で頷いた。
「え、と、百叶、私がお願いしても、たぶん断らないと思うけど…」
「いや、柚は西内さんが帰り1人になるかもしれないことを考えて、やんわりぼんやり濁しながら言いそうだから」
「そ、そんなことないですよ…!ちゃんと伝えられます!」
「どーだか。俺の彼女めちゃくちゃに優しいからな」
そう言いながら口角をくいっと上げると、手を伸ばして私の髪に触れた。
「……成瀬くん…」
「んー?」
「前髪ボサボサになっちゃってるんですけど…!」
ぽん、と前髪に触れたかと思ったら、そのままわしゃわしゃと乱された。
「んー可愛い可愛い」
「てきとー言わないでください…!」
「大真面目に言ってる」
「やだやだやだ!」
笑いながら逃れるようにその手を制すと、目が合った成瀬くんは少し吹き出すように笑った。
「……ぼさぼさ」
「ほらぁー!」
必死で前髪を直していると、その様子を楽しそうに見上げてくる。
「前髪乱れてても可愛いよ」
「フォローになってません!そもそも成瀬くんのせいです!」
「そーだった」
また楽しそうに肩を揺らす成瀬くんを見ていたら、私も前髪なんてどうでもいいか、なんて一瞬だけ思ってしまった。