直球すぎです、成瀬くん
「じゃあまた来週ね」
放課後、手を振って外に駆けていく百叶の後ろ姿を見ながら、私も成瀬くんが来るのを昇降口で待っていた。
……どこに行くんだろう。
成瀬くんとならどこだって楽しいけど…!
そんなことを考えながら待っていたけれど、全然来ない………
何人ものクラスメイトを見送っているうちに、いよいよ生徒の気配はほとんどなくなった。
……探しに行こう、何かあったのかもしれないし…
そう思い立って、私は鞄を持ち直すと成瀬くんの教室に向かった。
廊下にも人気はなく、時折グラウンドの方から、野球部らしき威勢のいいかけ声が聞こえた。
………あ、いた、成瀬くん……!
閉まったドアのガラス窓の向こうに、成瀬くんの横顔が見えた。
声をかけようとドアに手を伸ばした瞬間、成瀬くんと向かい合って立っている女子の姿を見つけて、私は反射的にその手を引っ込めた。
そのまま、隠れるようにその場にしゃがみこむ。
……え、どういう状況………??
手のひらに変な汗をかき始める。
咄嗟に隠れてしまったので相手の顔はよく見えなかったけれど、見たことない気がした。
…ということは、1年生か、2年生か………
「あのっ、成瀬先輩…っ!」
「っ、!」
突然聞こえた女子の声に、私は驚きで思わず声を出しそうになって慌てて口を押さえる。
「あの……好きです!付き合ってください…!」
………え………………
耳を疑うような内容に、私は言葉を失った。
……え………成瀬くん、告白されてる…………?
思ってもいなかった展開に、私の心臓はドクドクと鳴り始め、とてつもない緊張感に襲われる。
……どうしよう、成瀬くん、大丈夫だよね………?
盗み聞きをしてしまっていることに罪悪感はあったものの、今更この場から動くことができなかった。
成瀬くんが何て答えるのか、怖いけれどどうしても聞きたくなってしまって…………
「悪い、無理だわ」
………!
ほんの数秒後、成瀬くんの真っ直ぐな声が聞こえた。
「可愛い彼女待たせてるから、俺もう行くわ」
「えっ…」
その声の直後、こちらに向かう足音が聞こえてきて、私は慌てて昇降口へと走った。